momo

2021.02.28

特集

労働者協同組合法で加速!~働き方の変化で未来を拓く~

 

昨年12月、ある法案が参議院本会議で、全会一致で可決、成立しました。持続可能で活力ある地域社会の実現に資することを目的に、労働者や市民が主体者となる「労働者協同組合法」です。

「協同労働」という働き方は、働く人や市民が出資し、民主的に事業を運営し、人と地域に役立つ仕事を創っていくことで、40年にわたり全国で活動を行っています。

 

今回、東海事業本部にお話を伺い、この地域における取り組みや今後への期待などについて取材を行いました。
※2021年1月19日、特措法に基づく緊急事態宣言の発出に伴い、オンラインでのリモート取材を実施しました。

 

取材先:日本労働者協同組合(ワーカーズコープ)連合会センター事業団・東海事業本部 <岡田本部長、鈴木事務局長>

 

 

〇この法律によって何が変わる?
-はじめに、本法案が成立した今のお気持ちをお聞かせください。そして、法律の施行に向けてどのようなことが、今後変わっていきそうですか。
岡田 自分たちでお金を出し合って仕事をつくっていく協同労働の考え、40年取り組んできたことをみなさんに知ってもらえることが一番大きいです。厳しい雇用情勢にある昨今、働き方の選択肢が新しく増えたのです。東海事業本部は15年と歴史が浅いため、この地域に根づき貢献できる事業を広めていく後押しにもなると考えています。
鈴木 これまで適した法人格がありませんでした。例えば、新しく働く人を募集する際、出資の話をすると怪しい団体と思われてしまうことが多々あり、説明するのにとても苦労しました。法律で定義されることで根拠が明確になり、信用も変わってくると思います。

 

 

〇海外で協同労働はあたりまえの働き方のひとつ
-イギリスでは150年以上も前に法制化(株式会社よりも4年早く実施)されたように、海外ではあたりまえの働き方のひとつという印象があります。
岡田 はい、先進国で法制化されていないのは日本ぐらいです。ほとんどの国で労働者協同組合に関する法律が存在しています。韓国では日本を手本に進め、日本よりも早く法制化されました。今では協同労働による働き方が続々と生まれているそうです。イタリアやスペインでは製造業や金融業など幅広く取り組んでおり、国や地域に合ったやり方を目指せたらと考えています。

 

-全国的な歴史から、建物管理や清掃、物流。近年では介護・福祉ということを聞きました。労働者協同組合法によって取り組みことができる事業はかなり幅広いんですね。
岡田 市民の自発的な仕事を大事にしているため、そこで制限をつけてしまうのはどうか?ということがありました。一方、労働者派遣事業は主体的な働き方とは趣旨が異なるため、今回の法律からは除外されました。

 

 

〇日本でもっと根づいていくために
-新しく立ち上げたい。協働労働について知りたいなどの相談はありますか。
岡田 地元でこういう活動をしたいから労働者協同組合法を活かせないか?あるいは出資して働くにはどうしたらいいか?などという相談は来ます。この法律で見誤ってはいけないことは、「自分たちがやってきたこと(だけ)が労働者協同組合ではない」。いろいろな形の労働者協同組合が今後出てきていいと考えています。

 

-新規立ち上げにあたりネックになることはありますか。
岡田 一番は立ち上げ資金です。最近相談した金融機関では地域活動に力を入れていますが、立ち上げ資金についてはなかなか難しいという話でした。そのための基金創設や地域の参考事例を今後学んでいく必要があります。

 

-どのような人が協同労働という働き方に合っていると思いますか。今後の期待と課題と合わせてお教えください。
岡田 協同労働においてという、特別な答えはありません。しかしみんなで協力して働き、実感を積み重ねていくうちに、効率だけではなく、現場で考え話し合う。全員から意見を引き出すことが求められているなと感じます。
鈴木 目指しているビジョンや想いがあるかどうかが、その人の働きやすさにつながっている気がします。かと言って、なくてもその人を排除することはありません。うちには7つの原則があり、話し合いをとても大事にする組織です。時に考えや意見が異なってもそれを受け入れ、尊重し合う。基本的にはこれが一番大事だと思います。
岡田 今後に向けて課題は山積みです(笑)。労働者協同組合としての事業の意義を、どうやって深めていくか。主体的になれるかどうかの葛藤や、職員同士が共感し合えないことが時には起きます。この法律に見合う組織か、いま改めて問い直されています。また職員の待遇を改善したいです。若い人が夢を持ち、生き生きと働き続けることができるようにしたいです。

 

 

 

2021.02.27

融資先:タチキカラ

炭やきという文化を残すための挑戦

こんにちは、momoレンジャーTKGです。

 

昨年12月に、momo65件目の融資先「タチキカラ 北三河」代表の杉野さんの元に、momoの理事や出資者の方と訪問をさせていただきました。

 


▲タチキカラの事務所

 

今日は、杉野さんが着目している「熱化学還元処理」と「炭やき」について、また、杉野さんの今後の展望をみなさんに紹介したいと思います!

 

タチキカラに到着するやいなや早速始まったのは「熱化学還元処理」についてのお話。何やら聞き慣れない言葉ですが、木材のねじれや曲がり、割れなどを軽減させて木を乾燥することができる、先進的な技術なのです。

 

前回の取材で、木材のねじれや曲がりが起こりにくい時期を選んで木を伐採している、とお話していた杉野さんですが、なぜ「熱化学還元処理」に注目しているのでしょうか?そのポイントは「働き方」と「木の市場価値」にあります。

 

「今、僕がスギやヒノキを伐るのは、木が割れにくく、品質の高い”伐り旬”といわれる秋の彼岸から春の彼岸までの半年にしています。しかし、熱化学還元処理で乾燥することができれば、伐り旬ではない時期にも、木を伐ることができ、市場価値の高い木を出すことができます。これによって働き方が変われば、僕の次の世代で、この仕事を引き継ぐ人も面白くなると思うんです。」

 

木の変形や割れは、それ自体がロスになり、市場価値の低下にもつながります。そして、それを防ぐ形で木を伐採しようとすると、働く時期に制限が出てきます。 つまり、それを解決することで杉野さんだけでなく、その次の世代で働く人にとっても持続的な事業になる、というわけなのです!

 

私自身も全然知らなかったお話ですが、聞けば聞くほど、ワクワクする話…!

 

 

さらに、これまで「木こりとしての杉野さん」をmomo通信では主に紹介してきましたが、杉野さんは炭やき職人でもあります。40代まで横浜でSEとして働いていたものの、炭やき職人に憧れて炭やきの世界に飛び込んだのだそうです。

 

杉野さん曰く、炭やきは技術というよりは文化。

 

「伝統的な文化を絶やさずに残していきたい」と語る杉野さんですが、現在は、自分の炭窯を持っていないのだそう。

 

そこで現在、炭窯作りの準備を進めています。

 

「自分だけでもできないわけではないけれど、それでは広がりもないし、つまらないんです。色んな人に、見てもらったり、関わってもらったりしながらやれたらと思います。」

 

momoとしても、杉野さんの挑戦を応援したい!伝統的文化としての炭やきを残していきたい!と考えています。

 

杉野さんと一緒に、この企画を形にできたら…と思って、準備をしていますので、続報をお待ちください!