2022.02.26
こんにちは、momoレンジャーのTKGです。
タチキカラの杉野さんが、4月〜5月にクラウドファンディングに挑戦し、現在取り組んでいる炭窯作り。ほぼ完成!まで辿りついたということで、炭窯作りのお話を伺ってきました。
▲炭窯の前にてお話を聞かせていただきました
炭窯作りのスタートは、昨年8月に遡ります。
まずは、基礎工事からスタート。ここは土建屋さんにお願いしてやってもらいます。
その次は、杉野さんの友人や応援団も駆けつけ、レンガ積みの作業です。このレンガは、全てクラウドファンディングの資金で購入した耐火レンガ。杉野さんは、愛知県内の築炉屋さん(火や熱が発生する設備に関する施工を築炉というのだそう)で、この耐火レンガ、耐火セメント、耐火モルタルを購入しました。
ちなみに、このレンガはイギリス積み、という積み方。
▲イギリス積み
レンガを一段おきに、長い面、小さい面と一段おきに積む方式のことで、丈夫なのが特徴です。
なお、この炭窯に使われているレンガはなんと約700個!想像より多い!!!それくらい、1つの炭窯を作るのに、労力もお金もかかるんだなあと感じますね。
レンガを積み終わったら、モルタルを塗ってから打ち込んでいき、その間に、焚き口を作ります。
それが終わると、最も大事な作業、煙突作りに入ります。
杉野さん曰く「煙突は、全てが変わる一番大事な要素。他が良くても、煙突が悪ければダメだし、逆にいうと、他のところの出来がそこまで良くなくても、煙突が良ければ良い窯になる」。
ここの技術は企業秘密で、図面にも残すことなく、一人で集中して仕上げます。実際、杉野さんも出来が気に入らず、2回も壊してやり直したそうです。
その後、窯の内側、そして天井を作って形は完成! そこから試運転をし、しっかり炭になることを確認して、ほぼ完成。
伺ったのは1月下旬ですが、もう2月には完成するだろうとのことでした。
クラウドファンディングのリターンも、3月〜5月ごろにお届けできるように準備中です! クラウドファンディングのリターンや、現在受けている注文が完了次第、杉野さんの炭は、タチキカラのホームページ、Facebook から購入可能です。ぜひお問い合わせください!
<編集こぼれ話>
炭窯の天井をよくみてみると、手形を発見!
バイトで来てくれた学生や、設計士さんの手形なんだそう。この後これは土で隠れてしまうそうなのですが、「隠れてしまうものを愛でるのが良さ」と杉野さん。なんだそれめちゃめちゃ素敵!!と感動した私でした。
ちなみに杉野さん、ピザ窯作りの仕事も受けているそうなので、ピザ窯を作りたい方はぜひお問い合わせを!
2021.09.03
こんにちは。momoレンジャーのひらっちです。
momoの融資先、タチキカラが2021年4月14日~5月5日にクラウドファンディングを行いました。そのリターンの一つ「原生林ガイドツアー」の様子をお届けします!
ガイドツアーの場所は、愛知県北設楽郡設楽町にある「きららの森」。御料林として護られてきたため、伐採の手を逃れ、手付かずの自然が残る素晴らしい場所です。
ツアーの前日まで雨の日が多く、天気が心配でしたが、当日は快晴に恵まれました(ちょうどこのツアーが開かれた7月17日に、東海地方の梅雨明けが発表されました)。
9時にタチキカラの工場へ集合し、4台の車に分乗してきららの森へ移動。10時過ぎからツアーがスタートしました。参加者の年齢・体力によってルートが変わる、約2時間のツアーです。
今回のツアーは9名の方が参加され、一番遠い所では、金沢市から参加された方がいらっしゃいました。
これだけ手付かずの自然が残る場所を歩くのは、私自身初めての経験。日差しが強い日でしたが、大きな木に守られ、ほぼ常に日陰を歩いている感じだったため「暑い!」と感じたり、熱中症の症状になったりすることはありませんでした。
コケの高さが低い位置で一定し、水位が安定している自然の川。何十年単位で雨水が貯まっているとの事。写真では分かりづらいですが、水が透き通っています。
本当に見所が多かったツアーの中で、私が一番心惹かれたのはブナの大木。
木材としてはほとんど役に立たない木ですが、自分の葉を足元に蓄積し、微生物によって腐葉土が作られます。その腐葉土はふかふかと分厚いスポンジのような状態のため、水を蓄えてゆっくりと流し、大雨や台風の際、洪水・土砂災害から森を守ります。
木と言えば、ヒノキなど木材としてよく使われる木が真っ先に思い浮かびます。その一方で、ブナのような森を守る役割もある事は知りませんでした。自然の世界も、いろいろな役割があって、成り立っているのだと感じました。
杉野さんは、間伐とは光を入れるために木を倒す事であり、自分が生きているうちには、その結果を見る事は出来ない。次の世代の事を考えながら作業をしていると話します。
しかし、立派な木を見ると、この木はいくらで売れるか?切るならどう切ればいいか?とも考えてしまう。これは木こりの性(さが)と笑いながら話していました。
しかし、この「どう切ればいいか?」という言葉には、林業の危険さも含まれています。
足場の悪い中で伐採木等重量物を扱うため、林業の労働災害の発生度合を示す「年千人率」は、建設業など他業種と比べて非常に高く、本当に命懸けの仕事です。
杉野さんも以前、大ケガをした事があるそうです。「倒れる木に人間は勝てない。面白くもあり、危険な仕事」と話していました。
まだまだご紹介したいですが、続きは是非、杉野さんのガイドで感じてください。この雄大な自然は、言葉や写真だけでは表せられません。実際に現地で見て歩き、五感で感じる事を強くオススメします。
~ツアーに参加された方の感想です~
「山の仕事は、自分が思ってた以上に危険で難しい仕事。
何人も犠牲になったり、杉野さん自身も大ケガをされた事があるのに、それでも、楽しそうに木を切るのが「面白い」と言ってた事。それが1番印象的だった」(30代 女性)
「森を1番守れる方法は、何もしないという言葉が印象に残っています。
そんな杉野さんの言葉を聞いたり、大きく深い世界が広がる原生林の自然の美しさの中に身を置いていたら、自分はなんてちっぽけな存在なんだろうと、良い意味で謙虚でいたいと思えました。
このツアーに参加して、以前とは違う視点で森や木々を見るようになったように思います」(30代 女性)
私も、このツアーに参加して、森に対する見方が変わった気がします。ただ生えているように見える木にも、なぜこうなっているか?と考えると一つ一つ理由があり、自然ってすごい!自然の前では人間の存在なんて、本当にちっぽけなものだと改めて感じました。
ツアー終了後、タチキカラの工場に戻り、クラウドファンディングの目的である炭窯と、セカンドゴールで購入した薪割り機を見せてもらいました。
只今、炭窯づくりの真っ最中です。完成が楽しみです。
momoレンジャー ひらっち
2021.05.25
こんにちは、momoレンジャーTKGです。
さて、momoのSNS等を通じてご存知の方も多いと思いますが、4月14日から5月5日に、momo融資先「タチキカラ」の杉野さんが、豊田市旭地区で炭窯を作るクラウドファンディングを行いました。
(クラウドファンディングのサイトはこちらから)
momoとしてもこのクラウドファンディングを応援させていただき、私TKGを含むmomoレンジャーで、ページやSNSの更新などサポートさせていただきました。
クラウドファンディングは見事成功!
目標額70万円を1週間で達成し、約3週間で、目標額の167%となる111万280円を調達しました。
クラウドファンディングが終わって少し経ち、杉野さんにクラウドファンディングを終えての気持ちなどを伺いました。
実は杉野さん、クラウドファンディングをやる前は「お金をいただくことに、抵抗感や後ろめたさがあった」と言います。
しかし、目標額の70万円を超えた時、知人に「ここまできたら甘えちゃえば?」と言われたことをきっかけに「開き直れた」のだとか。
「これまではお金を支援して、とは言えませんでした。しかし今回のクラウドファンディングを機に、お願いします!と言えるようになりました。本当にお金に関して心境の変化がありましたね。」
また、それ以外にも様々な変化が。
「これまで、後回しにしていたことが山のようにあって、その1つに自分の仕事の映像化がありました。
第三者に自分の映像を撮ってもらって、自分の仕事を伝えたい、こんなかっこいい仕事なんだと後継者に伝えたいと思っていたんです。これまでやっていなかったんですが、今やった方がいい!と思い、近くに住んでいるカメラマンに撮ってもらっています。」
「それから、これまでずっと1人で仕事をしてきましたが、クラウドファンディングを通して、炭やきの仕事をしたいという方からのメッセージをもらいました。その人は既に2回ここに来てくれました。これまでは照れがあって、一緒にやりたい人来てー!と言えなかったんですが、開き直れました。」
クラウドファンディングというと資金調達としての面が注目されがちですが、映像化が進んだり、一緒に事業を進める人が増えたり、杉野さん自身の考え方にも変化があったようです。 クラウドファンディングをサポートさせていただいた立場としても、とても嬉しいなと思います。
この日の最後には、杉野さんには「130人もの方に支援していただいて、本当にありがたいです。今回支援していただいたお金は、一円も無駄にせずに、使いたいと思います。僕は仕事を頑張りますし、そこには自信を持っています」と語っていただきました。
クラウドファンディングは終わりましたが、炭窯作りはいよいよこれから!続報がとっても楽しみです。
2021.02.27
こんにちは、momoレンジャーTKGです。
昨年12月に、momo65件目の融資先「タチキカラ 北三河」代表の杉野さんの元に、momoの理事や出資者の方と訪問をさせていただきました。
▲タチキカラの事務所
今日は、杉野さんが着目している「熱化学還元処理」と「炭やき」について、また、杉野さんの今後の展望をみなさんに紹介したいと思います!
タチキカラに到着するやいなや早速始まったのは「熱化学還元処理」についてのお話。何やら聞き慣れない言葉ですが、木材のねじれや曲がり、割れなどを軽減させて木を乾燥することができる、先進的な技術なのです。
前回の取材で、木材のねじれや曲がりが起こりにくい時期を選んで木を伐採している、とお話していた杉野さんですが、なぜ「熱化学還元処理」に注目しているのでしょうか?そのポイントは「働き方」と「木の市場価値」にあります。
「今、僕がスギやヒノキを伐るのは、木が割れにくく、品質の高い”伐り旬”といわれる秋の彼岸から春の彼岸までの半年にしています。しかし、熱化学還元処理で乾燥することができれば、伐り旬ではない時期にも、木を伐ることができ、市場価値の高い木を出すことができます。これによって働き方が変われば、僕の次の世代で、この仕事を引き継ぐ人も面白くなると思うんです。」
木の変形や割れは、それ自体がロスになり、市場価値の低下にもつながります。そして、それを防ぐ形で木を伐採しようとすると、働く時期に制限が出てきます。 つまり、それを解決することで杉野さんだけでなく、その次の世代で働く人にとっても持続的な事業になる、というわけなのです!
私自身も全然知らなかったお話ですが、聞けば聞くほど、ワクワクする話…!
さらに、これまで「木こりとしての杉野さん」をmomo通信では主に紹介してきましたが、杉野さんは炭やき職人でもあります。40代まで横浜でSEとして働いていたものの、炭やき職人に憧れて炭やきの世界に飛び込んだのだそうです。
杉野さん曰く、炭やきは技術というよりは文化。
「伝統的な文化を絶やさずに残していきたい」と語る杉野さんですが、現在は、自分の炭窯を持っていないのだそう。
そこで現在、炭窯作りの準備を進めています。
「自分だけでもできないわけではないけれど、それでは広がりもないし、つまらないんです。色んな人に、見てもらったり、関わってもらったりしながらやれたらと思います。」
momoとしても、杉野さんの挑戦を応援したい!伝統的文化としての炭やきを残していきたい!と考えています。
杉野さんと一緒に、この企画を形にできたら…と思って、準備をしていますので、続報をお待ちください!
2020.12.13
momo65件目の融資先「タチキカラ 北三河」代表の杉野さんはサラリーマンから転向し炭やき職人、木こり、木挽き職人、自治区の定住委員、自然ガイドと幅広く活動されている方です。
建設会社跡地を居抜きで購入し、ご縁で使わせていただいていた製材機を購入し、移転しました。その購入、移転費用の一部をmomoで融資させて頂きました。
今回のmomo通信では「杉野さんってどんな人?」を、豊田市の現場に訪問してインタビューしてきた、momoレンジャーひとみんがお届けします!
杉野さんは、豊田市の山の中にある製材所で、森林組合と材木屋で購入した木やご自身で伐採した木を製材されています。
脱サラしてから17年、豊田市旭地区に移住して11年目となる杉野さん。 山のあり方、里に住む人のあり方や生き方に信念を持って関わっていらっしゃいます。
杉野さんが日々どんな事を思い、自然や人・ご自身と向き合っているのか、どんな仕事をされているのかは、杉野さん のフェイスブックやホームページで垣間見ることができます。
そんな杉野さんは、木工製品を作る際に、山にある元々の立ち木から、木工製品を購入したい方に、山で育てている木をいくつか紹介し気に入った木を選んでもらい「今日からあなたの木ですよ。」と、伐採し製材して商品にする、という全ての工程がわかるような取り組みをしています。製品となる前の「立ち木」の状態から始まる…だから「タチキカラ」なのです。
自分と暮らす家具や家の材料が、どこで生きてきて誰がそれを収穫し、誰が加工したかが分かり、オーナーまたは購入者の安心安全につながる。それはシンプルな方法に見えるかもしれないけれど難しい仕事でもあります。
「小さな規模でなるべく多くの工程に深く関わり、木を生き物として扱う」ことがタチキカラのポリシーです。
木を生き物として扱うため、木を伐採する時期も大切にされています。 スギやヒノキを伐るのは伐り旬といわれる秋の彼岸から春の彼岸までの半年。その半年間に6〜7回訪れる「新月期」と呼ばれる期間に伐ります。
「新月期」とは、下弦から新月までの一週間です。 杉野さんは旧暦をいつも意識されているそうです。
旧暦とは、まさしく月の巡りそのもの。旧暦と24節気を身体で意識することで、少しでも山に近づきたいと思い暮らしている、というお話からも山と向き合って山と共に暮らしてみえるご様子が伝わってくるように思いました。
なぜ新月期かというと、月の満ち欠けは海面を上昇・下降させるため、生き物に多大な影響を与えま す。木のバイオリズムにも影響を与えます。 満月の頃はバイオリズムが上昇のピークで、植物のデンプンが増える為、虫が寄りやすくなります。
一方、新月期はデンプンが下降のピークで虫が寄りにくく、生き物として大人しくしている時期なので木材にした時も暴れにくいのです。新月期に伐った木は燃えにくいという話もあります。木を伐るのに月の満ち欠けが関係してくるなんてロマンチックであり、科学的な根拠もあるということで驚きました。
また、タチキカラでは「目切れ無し製材」も大切にされています。「目切れ無し製材」とは年輪を切らない強度を考慮された切り方です。
杉野さんのお話はどれも驚きや学びが多かったのですが、中でも印象的だったのが、間伐材のお話でした。
杉野さん曰く「間伐材という木材はなく、それは人がつけた名前。 間伐は悪い木を見つけるのでなく、“より良い木を残す、残したい木を見つけ育てていくために支障のある木を切ること”」なのだそう。
間伐材という言葉一つからも、杉野さんの山や自然に対するこだわりが伝わってきました。
こぼれ話ですが、うかがった際にスギの赤身を短く刻んで煮出した飲み物を出して頂きました。 木の香りと味わいがとても素敵でした! 味や香りが上手く伝えられないのが残念ですが、今後商品化 もあるかもしれないとのことなので、ご興味のある方はその際はぜひ!
杉野さんが日々どんな事を思い、自然や人・ご自身と向き合っているのか、どんな仕事をされている のかは、杉野さんのフェイスブックやホームページで垣間見ることができます。
木の話だったり、哲学的な話だったり…と読んでいて楽しくもあり、感慨深くもあります。 次のお仕事の話やこれからしたい事など、たくさんお話していただきました。
忙しい中、私達の訪問を受けお話いただきありがとうございました。