momo

特集:momoレンジャーがひもとく!「休眠預金」と「社会的インパクト評価」

こんにちは。NPOや金融のセクターで近ごろ特に話題になっている「休眠預金」って、みなさまどのくらいご存じですか? 新聞やメディアにもごくたまに取り上げられていますが、まだまだ関心や理解は広がっておらず、「正直よくわからない!」という方も少なくないと思います。そこで、momoレンジャーのたつやが「休眠預金」と、さらには「社会的インパクト評価」について解説します。
 

16640786_1605333322816000_6636842355703709983_n
(2月15日、「社会的インパクト評価実践研修」にて)

 
 
■「休眠預金」って?
 
金融機関の口座に預けられたまま、長い間取引のない預金のことです。日本では、10年以上取引がない口座に預けられているお金を「休眠預金」として扱っていて、毎年850億円ほど発生していると推計されています。これまでは、休眠預金は各金融機関の「収入」として扱われていました。
 
 
■なんで今、「休眠預金」が話題になっているの?
 
休眠預金をNPO活動を含む民間公益活動を促進するために活用できるようになったからです。休眠口座国民会議休眠預金活用推進議員連盟の主導によって、2016年12月2日に、「民間公益活動を促進するための休眠預金等に係る資金の活用に関する法律(原文ママ、通称『休眠預金活用法案』)」が参院本会議で可決され成立しました。
 
 
■休眠預金は、どのように「民間公益活動」のために活用されるの?
 
指定活用団体から資金分配団体に助成または貸付し、資金分配団体を通して現場の団体に助成、貸付、出資される、という仕組みで活用されます。指定活用団体は可能な限り中立性の高い存在とするため、内閣府の監督のもとに新設されます。資金分配団体には、「助成財団」「コミュニティ財団」「市民ファンド」「NPOバンク」などが想定されていますが、今後公募され決定する予定です。
 
 
■休眠預金は、いつから活用されるの?
 
法案は成立しましたが、詳細の制度設計はこれから。実際にすべての仕組みが動き出し、休眠預金を原資にNPOなどへの資金提供が行われるのは2019年頃になりそうです。
 
 
■休眠預金の活用と、「社会的インパクト評価」って関係あるの?
 
休眠預金を活用する条件として、「休眠預金等交付金に係る資金の活用の成果に係る評価の実施(原文ママ)」が必要です。従来NPOなどの活動の指標とされていた「結果(実施内容・回数・参加人数など)」ではなく、「成果(誰が/何が、どのように変化したか)」を定性的・定量的に評価する「社会的インパクト評価」が、今後現場の団体や中間支援組織には必要になると思います。
 
 
■「社会的インパクト評価」はどんな方法で実施されるの?
 
米国助成財団センターには200近い社会的インパクト評価の手法が登録されており、momoが2013年から「NPOの社会的価値『見える化』プログラム」で実施している「SROI測定」もその1つです。それぞれの手法には長所と短所があり、すべての長所を兼ね備えた「完璧な手法」は現時点ではありません。
 
また、社会的インパクト評価は、以下の7つのステップで構成されます。
1)ロジックモデル(論理的因果関係図)をつくる
2)評価するアウトカム(成果)を考える
3)アウトカムの測定方法を決める
4)評価のデザインを決める
5)データを収集する
6)データを分析する
7)事業改善につなげる/報告する
詳しくは「社会的インパクト評価イニシアチブ」のホームページをご覧ください。
 
 
■momoはこれから、「休眠預金」や「社会的インパクト評価」にどう関わっていくの?
 
momoは社会的インパクト評価イニシアチブの運営メンバーでもあり、代表理事の木村は「休眠口座国民会議」の呼びかけ人としても活動してきました。融資先や出資者、地域のプロボノとともに、これまで以上に社会的事業への融資を行い、その意義や成果を「社会的インパクト評価」などを通じて外部に発信していくことが求められてるのではないかな、と思います。
 
 
(momoレンジャー たつや)