momo

出資者訪問(第4回):木村仁志さん

この企画は、日頃からmomoを応援していただいている出資者のみなさんをmomoレンジャーが訪問し、その想いや志に触れるインタビュー企画です。 (たつや)
 
 
 

2

 
第4回:木村仁志さん
名古屋市職員として、現在は名古屋市市民活動推進センターに勤務。momoには2008年に出資。4冊目の編著書「ぼくらの長期投資〜成熟経済時代の新しい生き方を模索する〜」を、2016年3月27日(日)に出版しました。今回は、こちらの著書を通じて木村さんの考え方や素顔に迫ります。
 
———
 
 
小池)「ぼくらの長期投資」を拝見しましたが、とても読みやすく分りやすいと思いました。個人でもこんなにしっかりした本が出版できることに、まず驚きました。
 
木村)ぼくの「師匠」は高校時代の理科の先生で、「楽知ん研究所」というNPO法人でも活動している宮地祐司さんという方です。
 「楽知ん研究所」では、科学教室や科学読み物の出版などの活動をしています。もともと科学は、1700年代に貴族の娯楽として誕生しました。現代では組織化・分業化されて専門性が高まり発展する一方で、一般の人たちには判りにくくつまらないものになってしまったと思います。「楽知ん研究所」は科学本来の楽しみ方を現代に蘇らせよう、という想いを持って、活動をしている団体です。
 宮地さんに出会って、憧れて、これまで一緒に活動してきたという経緯の中で、自分で書籍を出版することも見よう見まねで覚えました。
 
 

3
「楽知ん研究所」のカレンダー! 中は読み物でいっぱいです。

 
 
小池)そうなんですね。momoを知ったきっかけはなんですか?
 
木村)学生時代に「楽知ん研究所」で活動していて、「NPO活動で飯を食べていきたい」と思うようになり、NPOのお金の流れに興味を持ちました。今は市の職員として働いていますが、NPOのお金の流れには関心を持ち続けていて、調べていくうちにmomoを知ったのがきっかけです。
 
 
小池)では、もともと金融に興味があったわけではないんですね。長期投資に興味を持たれたのはいつごろでしょうか?
 
木村)ぼくはもともと農学部で、大学では生態系保全の研究をしていたので、金融を専攻していたわけではないんです。きっかけは、「楽知ん研究所」のNPO法人設立総会で、「さわかみ投信株式会社」創業者(現取締役会長)の澤上篤人さんに講演をしていただいたことです。「楽知ん研究所」のメンバーの中で、NPO活動に集中するために早期退職したい、そのためには資産運用して経済的に豊かになる必要がある、という議論があり、資産運用のプロである澤上さんに講演を依頼しました。当時大学生だった自分も、その議論や講演に参加していたので、興味を持つようになりました。
 
 
小池)エンデの「遺言」には、「お金を増やすためのお金」に対する批判も含まれていました。社会課題に関心がある人の中には、利益を目的とした投資に対して、少なからず抵抗感がある人もいると思います。一方で、momoの出資者の方が言っていた「自分の代わりにお金が働いてくれる」という感覚はとても共感できると思いました。長期投資には、そういった「社会に必要な担い手を応援する」意味も含まれているのかなと思っています。
 
木村)自分の意思=志の込められたお金をローカルな地域づくりに循環させる、というのがmomoの活動だとしたら、グローバルな経済成長を応援していくというのが長期投資で、根底はつながっていると思っています。
木村)かつて、「資本家」と言えば、「お金を回してお金を稼ぎ、労働者からは搾取をする存在」というイメージで、マルクス主義が盛んだった頃はサラリーマン(労働者)と資産家は対立する関係にありました。しかし今ではサラリーマンでも本格的な投資や資産運用など、意志を持ってお金を使うことができるようになり、ある意味では「資本家」と「労働者」の両立ができる時代だと思います。momoの出資者だって、地域にお金を投じる「資本家」ですよね。
 
 
小池)「ぼくらの長期投資」を読み終わって、自分でも長期投資をしてみたいと思い、資料請求をしました。
 
木村)無理に勧めたい訳ではなく、「こういう選択肢もあるよ」という紹介をしたくて、この本を書きました。NPOの資金調達方法の1つとしても、検討の余地があると思います。巻末では、NPOとしての長期投資の可能性についても言及しました。将来的にはNPO自身が長期投資などの資産運用をすることも、まとまった原資を集めることができれば、十分可能だと思います。米国では美術館などのNPOが機関投資家として資産運用しているケースがあるので、そういった分野を今後は研究したいと思っています。
 
 
小池)なるほど。momoでも、長期投資を考えてみてもいいかもしれませんね。
 
木村)momoでも、志金を集めて融資するだけでなく、資金運用することも選択肢かもしれません。もちろん、今から出資者の理解を得るのは難しいと思うので、いきなりは無理だと思いますが、方法論としてはありうると思います。
 
 
 
【取材後期】
木村さん、ありがとうございました。「NPO」と「資産運用」という言葉には親和性がないように思っていましたが、「ぼくらの長期投資」を読んで印象が180度変わりました。投資や資産運用について全く知らない…という方への入門書として、オススメです!